夜明けのうた

 昭和40年日活。浅丘ルリ子主演。ラピュタ阿佐ヶ谷。1,200円。
 物語は大きく二部構成。前半は、スター緑川典子(浅丘)の華やかで虚飾に満ちた生活ぶりを描く。冒頭のスチール写真のスライドショートJAZZの組み合わせがセンスいいし、クローズショットを多用し、さながら浅丘ルリ子のプロモのごとく美しい肢体を丹念に描く。下着姿等のサービスショットも満載。
 後半は、前半部で偶然知り合ったカップルとの交流を通しての精神の再生を描く。
 もうすぐ盲目になる運命の婚約者と、彼女を献身的に支える青年の姿に、典子は大きな感銘を受ける。大切な何かを失うことで、同時に大切なものを得る。そんな想いでもよぎったのか、大きな決意を胸に秘め、不倫相手が逗留するホテルへ向かう。暗く長い夜を終えて、美しい夜明けを迎えるかのように。そして、一度は拒否した自分をモデルにした脚本に向き合うことを決意する。
 見ていて元気が出てくるいい映画。