家電メーカー 大型投資が「国内回帰」 先端技術の海外流出防止

 資源のない日本は、知的生産技術(=人的資源)で生き残っていかなければならないわけであり、こうした流れは妥当だと思う。長い目で見れば海外移転によるコスト削減のメリットは、移転先の経済成長により減少していかざるをえないからだ。
 経済成長とは、つまるところ購買力の上昇であり、先進国での購買意欲が長期減退しているのと、世界規模での情報化により、生産品の発展途上国での流通は必然である。今後日本企業がさらなる成長を遂げるためには、こうした国々に製品を購入してもらわなければならないわけである。
これから求められるのは「商品価値」つまり「ブランド力」にある。 

 家電各社が相次いで国内で大型投資を計画している。一時はコストが安い海外での生産を拡大していたが、韓国や台湾などアジアメーカーの追い上げが急速に進んでいる。このため、各社は先端技術の海外流出を防ぐことで競争力を維持し、収益の拡大を狙う戦略に転換している。デジタル家電半導体などの先端分野では、世界市場を舞台にした競争の加速は必至であり、今後も家電各社の「国内回帰」の動きが強まりそうだ。(大柳聡庸)
(中略)
 また、国内投資が拡大しているのは、税収や雇用といった経済効果に期待する地方自治体の熱心な企業誘致も理由の一つだ。シャープの亀山工場を誘致した三重県亀山市は合計で百三十五億円の補助金を交付した。こうした企業誘致制度を拡充する動きが各自治体に広がっており、企業の国内回帰を後押しする要因の一つになっている。
産経新聞) - 6月17日2時48分更新