ベルリン、僕らの革命

Bunkamuraル・シネマで鑑賞。1,500円。
 社会・体制に反抗する若者を描いた映画は多いが、いつも思うことがある。それは、社会については居丈高に批判をするが、個人の問題になると体制側と同じ、もしくは若さゆえの稚拙さを露呈することである。
 過去の青春映画の名作、例えばルキノ・ヴィスコンティの「若者のすべて」、ベルナルド・ベルトルッチの「革命前夜」「ドリーマーズ」でもその問題が炙り出されていた。そして、今作においても、その問題を根本部分では乗り越えられていない。莫大な借金に対しての怒りの感情が、義憤ではなく私憤から発され、連帯意識よりも恋愛感情を優先するのである。
 行動は行き当たりばったりで一貫性がない。スローガン的な言葉はとめどなく出るが、三角関係を解決するのはいよいよの時まで黙っている。行動の失敗は当然の帰結といえよう。
 劇場にあったビラに文化人芸能人がたくさんのコメントを寄せている。そのほとんどが若さ、エネルギーへの賛歌である。つまらない。
 そのなかでピーター・バラカンのコメントがいい。「青臭さもいい加減さも青春のうち。理想のためにどこまでやる覚悟があるか、そこが問題です」。
 物語の最後、主人公達は心の葛藤に耐え踏みとどまる。大きな成長である。理想をかなえるために何をすべきか何ができるか。輝かしい未来とはそうした意思を持った行動の極北にあるものなのだろう。
主人公達が批判した68年革命の闘士であった重役にしても、大きな葛藤や挫折を乗り越えて今の地位がある。そこに気づかなければ、「一生変わらない」。
 音楽はロック満載。恋と革命とロック。クライマックスに流れる「Hallelujah」がいい。調べてみるとレナード・コーエン作曲。歌うのは夭折したジェフ・バックリィ