映画

ゴスフォード・パーク

ロバート・アルトマン得意の群像劇。30年代英国を舞台に、貴族社会の虚実入り混じる愛憎を労働者階級(使用人等)からの視点を絡めて描く。多くの登場人物のキャラクターをしっかりと使い分け、立体感を失わないところはさすが。 一人の放縦な老貴族殺人事件…

夜明けのうた

昭和40年日活。浅丘ルリ子主演。ラピュタ阿佐ヶ谷。1,200円。 物語は大きく二部構成。前半は、スター緑川典子(浅丘)の華やかで虚飾に満ちた生活ぶりを描く。冒頭のスチール写真のスライドショートJAZZの組み合わせがセンスいいし、クローズショットを多用…

ベルリン、僕らの革命

Bunkamuraル・シネマで鑑賞。1,500円。 社会・体制に反抗する若者を描いた映画は多いが、いつも思うことがある。それは、社会については居丈高に批判をするが、個人の問題になると体制側と同じ、もしくは若さゆえの稚拙さを露呈することである。 過去の青春…

新ポリス・ストーリー

仕事帰り、早稲田松竹で見る。800円。 ハリウッド・アクションの悪いところがやたら目立った。バトルシーンはなかなかだったけど、さすがのジャッキー・チェンも寄る年波には勝てない。 お涙ちょうだいな場面が頻発するし、余計なエピソードが多すぎ。ラスト…

ガーゴイル

クレール・ドゥニ監督、ヴィンセント・ギャロ、ベアトリス・ダル。豪華キャストで送る吸血鬼の物語。 社会で決して受け入れられない、抑え切れない本能を抱え苦悩する男と女が交差して語られていく。絶対的異邦人としての性癖を持ちながら優しすぎる心がとて…

そして誰もいなくなった

原作を読む手間と時間を省きたいという消極的な理由で借りてくる。吹き替え版。 緊張感に足りない冗舌な作り。原作が持つという偉大さをあまり感じなかった。カメラワークは結構よかった。

ドゥ・ザ・ライト・シング

スパイク・リー監督・製作・脚本・出演。真夏日、NYの黒人街を舞台とした群像劇。人種間をめぐるちょっとしたすれ違いを嚆矢として、平和な街の歯車が狂い始め、悲しい事件が起きる。 NYドジャースのジャッキー・ロビンソンのレプリカユニフォームを着た…

赤ひげ

黒沢明監督作品。3時間を越える大作で2部構成。 前半は、小石側診療所で働くことになった長崎帰りの医学生保本(加山雄三)だが、所長の赤ひげ(三船敏郎)に反発し、子供じみた反抗を繰り返すが、ひょんなことから命を失いそうになるところを、間一髪赤ひ…

間諜最後の日

ヒッチコック大先生のイギリス時代1936年の作品。ストーリーはもちろん、ユーモアたっぷりの娯楽作。全盛期の作品と比べると、全体として習作的な感じはするが、トリックの使い方はさすが。 P・ローレ扮するメキシコ人スパイに対するヒロインの一貫した冷た…

椿三十郎

黒沢明監督作品。豪放磊落だが機知に富む浪人(三船敏郎)が、若侍達を助けることでお家騒動に巻き込まれていく姿を描いた痛快時代劇。 主題的に血生臭い話になりそうだが、名前を尋ねられて、とっさに庭に咲く椿を見て椿三十郎と名乗ったり、右往左往する若…

CASSHERN

ちょっと前いろんな意味で話題になった。ようやく鑑賞。半額で借りた。 噂通りでした。映像がきれい。ただそれだけ。麻生久美子も仕事選べよ。 公開時のコピー「この地に生まれた、愛する人々に捧ぐ」に大爆笑。アルマゲドン並の仰々しさ。

終わりなし

クシシュトフ・キエシロフスキー監督作品。渋谷ユーロスペースで鑑賞。1,000円。 全編を通して寂寥感漂う悲しいお話。音楽と合わせて映像も重厚。 特筆すべきは、「連帯」や労働ストライキに対する弾圧や戦没者慰霊祭といった、現代ポーランド史を描きながら…

CUBE

絶賛の声を聞き続けながら、なんとなく未見だった作品をようやく鑑賞。 噂通り、不条理でシンプルで数学的な映画。全編を通してそれに徹しているので余計な場面がほとんどなく、ダレずに楽しめた。ヒッチコック的な美学を感じる。「メメント」同様アイデアの…

酔いどれ天使

黒澤明昭和23年の作。三船敏郎のギラついた眼にゾクゾクする。完全に三船の映画。戦後風俗を垣間見れるという点でも興味深い。話の筋は単調。「野良犬」のほうがよい。まだ初々しい久我美子が見られる。聡明そうだ。

グッド・フェローズ

勝手にスコセッシ祭り第2弾。ジョー・ペシのイカレっぷりがすごい。「スカーフェイス」のパチーノを煮詰めたような感じ。アカデミー助演男優賞にも納得。デ・ニーロの寡黙な凄みにも震えた。 マフィアといればイタリア系だが、主人公や兄貴格のジミー(デ・…

グッドモーニング・バビロン!

笑わない、陽気じゃないイタリア映画。世渡り下手の兄弟ニコラとアンドレアが直面する移民の困難に直面し、強運と職人の意地をもって人生を切り開いていく。 大映画監督D・W・グリフィスにイタリア人は使えないと罵倒され、「俺達はミケランジェロやダヴィ…

ミーン・ストリート

巨匠マーティン・スコセッシ監督が描くイタリア系アメリカ人達の青春物語。監督31歳の時の作品。盟友(名優)ロバート・デ・ニーロと初めて組んだ映画でもある。 チャーリー役の若いハーヴェイ・カイテルがカッコよすぎ!定職に就かないチンピラだが、カトリッ…

丹下左膳(阪東妻三郎版)

こちらも面白かった。本当は山中貞雄版を見たくて新宿TSUTAYAに行ったのだが、見当たらなかった。レンタル禁止なのかな。(写真は山中貞雄版)

丹下左膳 百万両の壷

噂に名高い山中貞雄版ではなく、豊川悦司版。丹下左膳めちゃめちゃ格好いい。座頭市より好き。つまらんメロドラマより痛快時代劇!

ロバート・アルトマン

権威主義を徹底的にこき下ろし、皮肉をめいっぱい効かせた人間描写は一度ハマると癖になる。 「MASH」「ザ・プレイヤー」がおすすめ。

J・L・ゴダール新作の報

エレニの旅の上映前CMでゴダール監督の新作に関する宣伝が流れた。今度はサラエヴォを舞台にした作品らしい。タイトルは「アワー・ミュージック」。原題はNotre Musique。 サラエヴォが舞台と聞いて、U2の「MISS SARAJEVO」を思い出した。やはり同じよう…

エレニの旅

原題は「嘆く草原」。テオ・アンゲロプロス監督6年ぶりの新作。日比谷シャンテ・シネ。1,500円。 ロシア革命の余波でオデッサから逃げ出したギリシア人の一行に孤児エレニがいた。そこで流した一粒の涙は、やがて大きな濁流となって彼女自身を飲み込んでい…

子供の描き方についてふと思った

余談だが、「挽歌」を見て(本編以外で)一番印象に残ったことは、桂木の子くみ子の存在が事実上ほとんど無視されていることである。 あき子は子供の行く末より命を絶つことを選び、上京が決まった桂木は結局札幌の親戚の家に預けてしまう。子供が物語にアク…

挽歌

五所平之助監督、久我美子主演。ラピュタ阿佐ヶ谷で鑑賞。1,200円。 左ひじに障害をもつ主人公玲子は、ふとしたことで知り合った妻子ある男桂木に恋をする。桂木も自由奔放な彼女に次第に惹かれていく。また、桂木の妻あき子もまた医学生古瀬と逢瀬を重ねて…

バッド・エデュケーション

ペドロ・アルモドバル監督。ガエル・ガルシア・ベルナル主演。新宿テアトルタイムズスクエア。1,500円。 今度のアルモドバルは、傑作「All About My Mother」とは対照的に男の物語を描く。むろん、汗臭い体育会系の物語ではない。同性愛、幼児性愛、トラウマ…

トリコロール 赤の愛

原題はTrzy kolory : Czerwony。 イレーヌ・ジャコブが限りなく美しい映画である。冒頭の写真撮影シーン、巨大ポスタア(ラストのテレビ画像でも同じアングルが使用されている)、ファッションショウ、老いた元判事ジョゼフ宅での光の陰影を強調したショット…

オペレッタ狸御殿

監督鈴木清順、主演チャン・ツィイー、オダギリジョー。5月28日 東京[丸の内ピカデリー2]ほか全国にてロードショー。 劇場で清順作品見るのは初めて。楽しみ。

All About My Mother

平成16年12月20日に書いた感想を微修正 「All About My Mother」ではなく、「All About Every Woman」のタイトルのほうがよかったのではないか。そう思えるほど登場する人物それぞれのキャラクターが立っていたし、物語の主題もそこにあったように思う。 特…

日本最高齢映画監督93歳新藤兼人氏、今も22歳の感覚 インタビュー

日本最高齢の映画監督で22日に93歳を迎える新藤兼人氏がインタビューに応じた。年を重ねれば重ねるほど別れは増え、孤独感は増すもの。そんなとき、母親や最愛の妻だった故・乙羽信子さんの在りし日を思い出せば寂しさはないと言う。明治、大正、昭和、…

今後公開される見たい作品

エレニの旅(監督テオ・アンゲロプロス) A 4/29〜 ベルリン、僕らの革命 A 4/29〜 真夜中の弥次さん喜多さん B 公開中 バッド・エデュケーション(監督ペドロ・アルモドバル) B 公開中 さよなら、さよならハリウッド(監督ウディ・アレン) A 4/23〜 ミリオン…