バッド・エデュケーション

 ペドロ・アルモドバル監督。ガエル・ガルシア・ベルナル主演。新宿テアトルタイムズスクエア。1,500円。
 今度のアルモドバルは、傑作「All About My Mother」とは対照的に男の物語を描く。むろん、汗臭い体育会系の物語ではない。同性愛、幼児性愛、トラウマと復讐といったテーマを、まるでヒッチコックのような鮮やかな手さばきで極上のサスペンス劇に仕立てた。
 映画監督(本人がモデルか?)となった主人公の前に、かつて寄宿舎で共に学んだ親友が脚本を売り込みに訪ねてくることから物語りは始まる。
 現実の時間と脚本の内容、少年時代の回想シーンが織り込まれ複雑な展開を見せ、謎に満ちたピースの断片が少しずつ揃いはじめ、やがて判明する真実が全てを明らかにする。
 そのクライマックスで物語は突如語るのをやめる。彼らのその後のナレーションが始まる不可思議な幕切れ。ちょっと拍子抜けした。