All About My Mother

 平成16年12月20日に書いた感想を微修正
「All About My Mother」ではなく、「All About Every Woman」のタイトルのほうがよかったのではないか。そう思えるほど登場する人物それぞれのキャラクターが立っていたし、物語の主題もそこにあったように思う。
 特にアグラートの存在は、人間の持つ寛容さ強靭さを感じさせた。公演中止を告げた後のブーイングを繰り返す観衆を宥めるために披露する一人漫談(?)は、もっとも感動的な場面だった。
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 四人の女性を巡る愛憎絡まる群像劇という難しい設定であったが、平板な展開にならず、相関関係や挿話もきちんと整理され、物語に更なる深みを与えている。
 上映時間を短くまとめたせいか心理描写が弱い感じもするが、それがかえって想像力を刺激しよかったように思う。特に最後の列車が走るシーン。置き手紙だけ残してバルセロナを去っていくマヌエラと、2年後にまたバルセロナへ戻るマヌエラ。この間の年月について、映画は何も語ることはない。その間の物語は、観客一人一人が想像すべき場面なのだろうか。見る人それぞれに柔軟に解釈される映画だと思う。