ストックオプション利益は給与所得 最高裁確定

社員の給与やボーナスにストックオプションを充てている会社(特に外資系)の現状を考えると(「日経新聞」04年12月24日の記事によれば、上場企業の約3分の1に当たる約1,300社で採用)、「精勤への動機付け」という考え方も一理なくはないが、市場の期待値である株価の変動を給与所得に含めるのはやっぱ拡大解釈だよなぁ。
税収確保のため国税側の言い分にすり寄ったのだろうか。「公共の利益」優先ってとこか。
他のブログで行政と司法の「分立」が成立していないという指摘が見受けられるが、議院内閣制である以上、立法と行政の関係も分立は困難である。

ストックオプション利益は給与所得、最高裁が認定

 ストックオプション(自社株購入権)で得た利益について、「一時所得」に比べて税率が約2倍になる「給与所得」と見なされて追徴課税されたのは違法として、外資系企業の日本法人元社長が税務署側に課税処分の取り消しを求めた訴訟の上告審判決が25日、最高裁第3小法廷であった。

 藤田宙靖裁判長は、「利益は給与所得」という最高裁としての初判断を示し、課税を適法とした2審・東京高裁判決を支持、原告の請求を棄却した。税務署側の勝訴が確定した。

 ストックオプションを巡る訴訟は100件余りが係争中。利益について、労働の対価である給与所得と見なすべきなのか、偶然得た所得という意味合いが強い一時所得と見なすべきなのかについて、司法判断が分かれていたが、藤田裁判長は「ストックオプション制度は、役員などへの精勤の動機付けとして設けられ、その利益は職務遂行の対価として給付されているので給与所得」と指摘した。

 今後、司法判断は給与所得に統一される。

 訴えていたのは、米半導体製造大手「アプライドマテリアルズ」日本法人の八幡恵介・元社長(70)。1996―98年の間、米国の親会社から与えられたストックオプションを行使して得た約3億6000万円の利益を、一時所得として申告したが、給与所得と見なされて所得税約8000万円を追徴課税された。

 八幡元社長は、直接の雇用関係のない親会社からストックオプションを与えられていたが、判決は、「原告は親会社の統括の下で職務を遂行していると言える」と述べ、親会社からの給与と見なせるとした。
(読売新聞) - 1月25日20時50分更新