パッチギ!

 映画の感想を一行かつグループサウンズ風に言えば、民族問題、植民地支配、祖国統一やらの重い荷物をいっぱい詰め込んで、フォークギターを奏でながら、イムジン河に見立てた鴨川沿いを突っ走る恋の特急列車に乗ってるような映画だった。終着駅はもちろんハッピーエンド。清く正しい青春映画である。クライマックスの鴨川川中島合戦の時に、明らかにファミリーマートが見えてても気にしない(おいおい)。
パッチギ!
 井筒監督の他の作品と比べると、「岸和田少年愚連隊」みたいなテンポはなく、「ゲロッパ!」ほど笑えない。「ガキ帝国」に一番近い気がした。あの頃のテーマは継続しつつ、舞台を大阪から京都に移し、今の眼で撮る原点回帰のような作品なのだろうか。
 蛇足だが、京都のいろんなところでロケされているのがうれしい。市内の北、南、東。西はあんまりなかったかな。8割がたは場所を特定できた。全体的には、68年の頃と京都の町はあまり変わっていないのだろう。東京に住んでるだけに、そんなんうれしいなぁ。ただ、今日日はあんなに訛ってはいない気がする。あれはやっぱ時代かな。
 今回も、「血と骨」同様オダギリジョーがよかった。いい味出してる。
 渋谷シネアキューズCQN。1,800円。