アメリカン

 中学2年の頃、塾に行くようになった(行かされた)。そこで小学校の頃の友達との親交を再び深めることになったのだが、そこに一人のアメリカンなやつNがいた。
 アメリカンといっても、ダブル(ハーフ)であるとか英語を話せるとかでは全然なく、オーバーアクションで口癖は「オーライ」というだけである。しかし、田舎の中学ではそれだけでもかなり衝撃的な存在で、かつNの家が結構分限者ということもあって、羨望のまなざしを受けていた(反面おちょくられもしていたが)。
 家が近く、帰り道が同じだったため、塾の後時々2丁目の公園で友人Yを加えて3人でだべっていた(それを「トーク」と呼んだ)。先生の悪口や恋愛話等青春スタンダードなトークは盛り上がったが、ほんの数回でNのお母様から「ご近所ではしたないざます」という小言を受けてあえなく終了となってしまった。その後、Yと俺はN抜きで夜な夜な会合を繰り返す。そのきっかけを作ってくれたNとはそれっきりである。
 時は経ち、Nは同じ高校の理系クラスにいったが、大学は行かず専門学校に行ったらしい。成人式会場にはなかなか派手な車を乗り付けてきていた。風のうわさによると結婚したらしい。