グッドモーニング・バビロン!
笑わない、陽気じゃないイタリア映画。世渡り下手の兄弟ニコラとアンドレアが直面する移民の困難に直面し、強運と職人の意地をもって人生を切り開いていく。
大映画監督D・W・グリフィスにイタリア人は使えないと罵倒され、「俺達はミケランジェロやダヴィンチの子孫だぞ。馬鹿にするな!お前達の先祖は誰なんだ!」と言い返すところが清清しい。職人の意地と誇りを感じた。やがて彼を見返し認められるために製作した象のミニチュアで示した確かな技術が認められ、栄光の階段を駆け上がっていく。
草創期のハリウッドの牧歌的な雰囲気と映画という20世紀的芸術への期待が、様々な国の人々を呼び寄せていく。そこでうまれる交流と友情。才能溢れる主人公二人も、温かく迎えられ、支えられて表舞台へ後押しされていく。様々な国の文化の混交が、映画を発展させていったことがよくわかる。
しかし、ニコラの妻の死をきっかけに二人の兄弟愛も崩れていく。コンビを解消し、やがてニコラはイタリアへ戻り軍隊へ、アンドレアもまた米軍へ。そして戦場で最後の別れを迎える。二人を救った映画「イントレランス」(不寛容)の代償として。
はっきりいって最後は冷めてしまった。途中まではよかったのに、後半のあまりに子供じみた行動とつぎはぎだらけのストーリーに閉口。もっと時間をかけて描くべきだったのではと思う。
グッド・フェローズ
勝手にスコセッシ祭り第2弾。ジョー・ペシのイカレっぷりがすごい。「スカーフェイス」のパチーノを煮詰めたような感じ。アカデミー助演男優賞にも納得。デ・ニーロの寡黙な凄みにも震えた。
マフィアといればイタリア系だが、主人公や兄貴格のジミー(デ・ニーロ)はアイルランド系なので出世できないなど、マフィア世界を細かく描写している。好き勝手に振舞い、本音をぶつけ合って、抗争の結果あっけなく殺されていく。そうなって当然の連中ばかりなので、余計な感情移入がいらず見ていて気持ちが良かった。ピンクのキャデラック等、センスゼロの金の使いっぷりも笑える。シリアス通り越してコメディ映画のようでした。
音楽については、デレク・アンド・ドミノスの「レイラ」の間奏部分のみを使用するスコセッシのセンスに脱帽。