終わらない戦後 行政上の諸問題

 フィリピン・ミンダナオ島での元日本兵生存を巡るニュースや小泉首相靖国参拝問題が世間を賑わせています。今年は戦後60周年。「戦後」を巡るこうしたニュースが立て続きでてきたのは、なんだか偶然とは思えない気がします。
 原爆投下や東京大空襲といった事件は誰でも知ってますが、あまり知られていない戦後処理があります。
 ひとつは、地籍調査。大都市圏には実はちゃんとした地籍(土地の戸籍のようなもの)がありません。特に、都心部は戦災復興計画図という、まさに戦後復興時に作成された図を今も使用しているのが現状です。
 しかし、当時の稚拙な測量技術と、闇市をはじめとする土地の権利者の錯綜により、開発における土地の境界トラブルがたえません。来年度から、法改正により法務局の登記官が職権で裁きを下せるようにはなるのですが、根本的な解決方法には至っていません。
 もうひとつは、地下壕問題です。いわゆる防空壕です。昭和49〜56年度及び平成10〜14年度にかけて、順次埋戻し等の対策が実施されていますが、大規模な陥没、崩壊による災害が発生するおそれがある箇所はまだまだあるのが現状です。国土交通省の調査によると、全国で5,003箇所あり、そのうち777箇所が危険性があるそうです。
 戦争の善悪についてはここでは措いておきますが、近代の総力戦というのは、物理面でも実に様々な傷を残すということ、記憶と違って時間が経つほどに修復が困難になること。現代のアフガニスタンイラクにも通じる、普遍的な問題だと思います。